ペット用品産業の市場動向

2018年2月1日

 

サマリー

  • 犬の飼育頭数は減少傾向が継続、猫の飼育頭数は概ね横ばいで推移。
  • ペット用品市場のうち、猫人気やメーカーによる市場開拓により、猫砂、ペット用おむつ、デンタルケア用品は拡大傾向にある。
  • 一方、犬の飼育頭数減少や小型犬人気の固定化の影響を受け、犬用トイレシート、シャンプー・リンスなどは縮小傾向にある。
  • 近年はペットの「室内飼育化」及び「猫人気」によるニーズに合わせた商品開発が進められている。

 

市場環境

一般社団法人ペットフード協会「2017年 全国犬猫飼育実態調査」によれば、犬の飼育頭数は892万頭、猫の飼育頭数は952万6千頭となっている。犬の飼育頭数は2012年から減少傾向が継続する一方、猫の飼育頭数は概ね横ばいや微増で推移する傾向にある。このような状況下、ペット用品メーカーは、高付加価値商品の開発や新市場開拓により活路を見出そうとしている。今後、規模の拡大が見込めそうなアイテムは下記の通り。

①猫砂:昨今の猫人気を反映し、拡大が見込める。消臭力を高めた猫砂、燃えるごみとして処理できる猫砂、固まる猫砂、流せる猫砂など、利便性の高い商品が開発され、手入れの頻度が抑えられるシステムトイレも人気となっている。

②ペット用おむつ:ペットの高齢化の進行の他、機能性向上により車や電車での移動時など利用シーンの多様化ににより、規模の拡大が見込める。

③デンタルケア用品:歯磨きを習慣化している飼い主が少なく市場全体からみると小さなアイテムであるものの、近年は犬用商品の強化や猫用商品の展開により、徐々にメーカーが市場を拡大させているアイテムであり、今後成長が期待される。

競争環境

ペット用品市場は、大手トイレタリーメーカー、専業メーカー、その他メーカー(本業で培った技術を活かしたペット事業参入など)に分類される。
(参考ページ:ペット用品メーカーの上位企業10社

最大手はペットケア部門売上高856億円を誇るユニ・チャームだ。2011年には北米のThe Hartz Mountain Corporation社を買収し、犬用トイレシートや猫用消臭ビーズなどで北米における新市場を開拓、堅調に売上を拡大している。ライオン商事は大手トイレタリーメーカーであるライオングループ傘下でペット用品・ペットフードを販売している。2014年からはペット特有の臭いを落としペットの毛を落ちやすく・付きにくくするペット用品専用の洗剤・抗菌仕上剤を販売し、新たな市場開拓を企図している。

専業メーカーでは、「ゴン太」ブランドを持つマルカンや、ペットジャーキー「紗」シリーズを主力とするドギーマンハヤシ、猫砂に強い常陸化工が、いずれもペット用品関連売上高数十億円をあげているとみられる。

その他メーカーでは、アイリスオーヤマがトイレシートのほか家電分野で培ったノウハウを活かしたペットの毛や臭いに特化した家電製品などを展開し、ペット用品業界2位のシェアを占める。シーズイシハラは本業の紙リサイクル技術を活かしトイレタリー用品を展開している。コーチョーは吸収体事業を強みとしトイレシートやおむつを販売。ヤマヒサはハウスメーカーの一部門としてペット事業部を設立し、「Petio」ブランドなどを展開している。

区分 企業
大手トイレタリーメーカー ■ユニ・チャーム
■ライオン商事
■ジョンソントレーディング
専業メーカー ■マルカン
■ドギーマンハヤシ
■常陸化工
その他メーカー
(本業で培った技術を活かしたペット専業参入など)
■アイリスオーヤマ
■シーズイシハラ
■コーチョー
■ヤマヒサ

 

ペット用品関連の新規事業/注目事業

ペット用品市場で近年拡大しつつあるアイテムの一つは猫用のシステムトイレである。システムトイレとは、専用の猫砂の使用やトイレシートの併用などにより、取り換え頻度を従来品よりも抑えることができるトイレで、消臭力も向上しているものが多い。利便性が高い他、排尿の回数が多くなり尿の臭いも強くなりがちな高齢猫のトイレの悩みを持つ飼い主などから高い人気を得ている。

成長期待の大きいデンタルケア用品の中でも、猫用の商品が開拓されつつある。例えばライオン商事はデンタルケアが出来る猫用おやつを新たに開発し、必要性に対する理解の低い猫のデンタルケアの習慣化を提案している。

また同社は、室内飼育率の高まりに伴う清潔ニーズを捉えたペット用品専用洗濯剤を業界で初めて開発している。ペット特有の臭いを落とし、絡みついたペットの毛を落とし付着しにくくする効果があり、ペットがベッドにしているブランケットや、尿を拭き取ったタオル、布製の首輪・ハーネスなどの洗濯用として高い人気を得ている。

ペットの飼育頭数が減少する中、近年のペットの「室内飼育化」や「猫人気」によるニーズに合わせた商品開発が進められている。

 

【参考ページ】

ペット用品メーカーの上位企業10社
ペット用品メーカー各社の特徴や売上を情報ソース(リンク形式)と共にまとめています。
ペットフードメーカーの上位企業10社
フードーメーカー各社の特徴や売上を情報ソース(リンク形式)と共にまとめています。
プレミアムペットフード市場の動向と関連注目企業
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