ペットロスになった子供のケアで注意すること
ペットを迎えるきっかけは人それぞれですが、子供のいる家庭では、ペットの存在が情操教育に良い影響を及ぼすことを期待する親もいます。ペットと一緒に暮らす子供は、ペットのお世話を通じて責任感が湧いたり、命の大切さを実感したりする機会が多々あるでしょう。
しかし、命あるものの定めとして死を避けることはできません。愛するペットとの別れは、誰しもつらいと感じることです。特に子供の場合は、ペットの死が、彼らにとって初めての「死」と向き合う場合もあります。
ペットを亡くした子供のケアで注意すべき事項をまとめました。
望ましいケア
『ペットロスの心理学(モイラ・アンダーソン著)』によると、「死んでしまったペットがどこで何をしていると思うか、子供に想像させ、声に出して話をさせる」ことは非常に有効だと言えるそうです。例えば、ペットのいる場所の風景から一緒にいる動物や人、何をして遊んでいるかまで多岐に渡って彼らの想像力を刺激するような会話をすると良いでしょう。
ちなみに、アイペット損害保険㈱の調査によると、ペットロスを克服するきっかけとして、「ペットロスを経験した人と悲しみを共有する」が第2位、「楽しかった時の思い出をつづる(日記等)」が第4位となっていることから、年齢に関わらず感情を表現することは有効だと言えるでしょう(⇒ペットロスを克服する人/克服できない人の特徴)。
同誌によると、想像力は子供の生活の大部分を占めているので、子供に想像力を働かせる行為は、そのペットがどうなったかを教え、恐怖を和らげるのに有効な手段となっています。また、子供に語らせることを通じて、「死」に対する考え方や、どういった面を恐れているのか発見することができます。
避けるべきこと:直接的な表現をしない
「死」という表現を避けるあまり、「ペットは行ってしまったのよ」とか「この家にいたくないので、どこかへ行ってしまったのだろう」と曖昧な表現をするとは望ましくないでしょう。また、「子供が悪いことをしたのでペットが死んでしまった」と受け取れる言い方をしたり、「死んだペットが戻ってくるかもしれない」と期待させる言い方をしたりすると、子供が罪悪感を抱いたり混乱したりするかもしれません。また、自分を責め、「自分が良い子だったらペットは帰ってくるのかもしれない」と死んだペットの帰りを待つようになる恐れがあります。
ペットの死について、できるだけ正直に伝えることが望ましいでしょう。
ペットと過ごす時間は、子供にとってもかけがえのないものです。ペットを亡くした子供のケアで最も重要なことは、子供が「死」についてどのように理解して向き合っているのか知ろうとする姿勢と言えるでしょう。悲しみやペットと過ごした時間を共に分かち合うことによって、悲しみからの回復が早くなる可能性もあります。愛するペットの「死」に直面した子供が早く立ち直れるようにケアすることは、周囲にいる大人の重要な役目です。