経験者から学ぶ|ペットロスから立ち直る人/立ち直れない人
可愛がっていたペットを亡くした時に、悲しみに暮れてしまうことは特別なことではありません。すなわち「ペットロス」というものは、その症状の程度・期間は個人によって違うにせよ、ペット飼育者であれば誰しもが経験する出来事なのです。
それでは、ペットロスになった際に(あるいは、今後なった際に)そこから立ち直るためには、どのようなことをすればよいのでしょうか。その行動によってはペットロスからなかなか立ち直れず、数年も長引く可能性があるかもしれません。今回は、実際にペットロスを経験した人の体験談やアンケートを基に、どのような人がペットロスから立ち直るのか/立ち直れないのか、考えていきます。
ペットロスの体験談まとめ
ペットロスを経験された方の体験談を見聞きすると、ペットロスからなかなか立ち直れずに社会生活に影響が出る人もいれば、比較的早期に乗り越えることができた人など、様々な方がいらっしゃいます。こうした方々の体験談をより細かく分析してみると、以下のようなペットロスを克服する人/長引く人の特徴が見えました。
ペットロスを克服する人の特徴
ペットロスを早期に克服する人の多くが共通して持つ点が、「ひたすら泣く」過程を経ていることです。早期に克服したと言えども、長引く人と同様に悲しみに暮れる時期があり、その間に(一人きりでもいいので)我慢せずに泣くことが、早く立ち直るためにも大切なことなのではないでしょうか。
また、多くの体験談で共通しているのが、「新しいペットを迎え入れる」ことです。新しいペットを飼うと、亡くなったペットと重ねて見てしまうかもしれないので怖いという人もいらっしゃいますが、逆にペットとの生活に新たな発見を見つけることで過去の思い出と現在の幸せを共存させることができている、といった人もいらっしゃいました。
その他、「思い出を振り返る」ことや「介護、葬式をしっかりしてあげた」ことで、気持ちを整理したり、次へ進む区切りをつけることができ、ペットロスから立ち直れたという人が多いようです。
ペットロスが長引く人の特徴
一方で、ペットロスが長引く人の多くは、「ペットロスに関して周りに話せなかった」と言っています。ペットロスに限った話ではなく、何か悲しいことや不安なことがあった時に、誰か親しい人に相談できると気が楽になりませんか?ペットロスの場合も、その悲しみを誰かと共有することで、実際に症状が緩和されるケースがあるようです。
さらに、「世話について後悔が残ってしまった」場合、その後悔がペットロスを長引かせる要因になるようです。「もっと日頃から健康に気を遣ってあげればよかった」「もっと一緒にいる時間を作っていればよかった」といった後悔は、日頃意識することで防ぐことができます。お別れが突然訪れてしまった時のために、日頃からペットを可愛がってあげてください。
アンケート調査まとめ
次に、2016年7月にアイペット損害保険(株)が犬猫飼育者に対して行ったペットとのお別れに関するアンケート調査を基に、ペットロスの立ち直り方について考えたいと思います。
まず、飼育者の世代別にペットロスの症状が続いた期間を見てみると、若い世代の方が、より早期にペットロスから立ち直る傾向があるようです。実際に、60歳以上の方は1ヶ月以内にペットロスを克服する割合が4割程度に留まるのに対し、15歳から39歳までの方は6割を超えています。また、60歳以上の方は半年以上症状が続く割合が15%程度大きいのも特徴です。
世代別・ペットロスの症状の継続期間
出所:アイペット損保調べ
さらに、ペットロスの乗り越え方に着目してみても、世代ごとに特徴があります。以下の図からわかるように、10代・20代の若者は、他世代に比べて、ペットが亡くなった時に様々な行為を通して悲しみと向き合っているようです。特に、「形見を作る」「仕事/ボランティアを通して動物と関わる」といった行為に関して、10代(各19.3%、8.8%)・20代(各12.1%、4.5%)と他世代の平均(各2.0%、0.7%)の間には大きな差があります。思い出をつづることや形見を作ることは、新しいペットを飼う等といった行為に比べて経済的・心理的な障壁が低いため、若者でも簡単に行うことができる、ということでしょうか。また、学生の場合は時間に余裕があるため、ボランティアに参加する方が多いのかもしれません。
世代別・ペットロスの乗り越え方
出所:アイペット損保調べ
以上の調査結果から、どのようなことが言えるでしょうか。
まず一つ目として、若い世代、特に学生は周りの環境が変わることも多く、そうした外部からの刺激によってペットロスの悲しみが薄まりやすいのかもしれません。一方で、高齢の方は日中もペットと一緒にいることができ、ペットとの習慣が一日を通して作られていることが予想され、そうした過去の習慣が意図せず悲しみを呼び起こすのではないでしょうか。従って、ペットが亡くなって悲しみに暮れているときこそ、習慣化している行動を変えてみたり、新しい場所へ訪れてみると良いかもしれません。
世代別・1日にペットと直接触れ合っている時間
出所:アイペット損保調べ
もう一つは、悲しみを乗り越えるために、悲しみと向き合う行為をすべきだということです。上のデータから、実際にさまざまな悲しみと向き合う行為を行っている若者の方が上の年代の方よりも早く立ち直っていると言えそうです。特に、学生は時間に余裕があることを利用して動物関連のボランティアに参加するのも良いですし、時間のない方であれば気軽にできること、例えば、ワンちゃん猫ちゃんとの思い出を綴ったり、服やおもちゃを形見としてつくる等が良いのではないでしょうか。
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