ペット葬儀・供養の種類・費用
サマリー
- ペットの葬儀(火葬)は、運営主体が①自治体、②寺、③民間企業の3つに分類され、方式は(a)火葬から埋葬まで一任する方式と(b)火葬に飼い主が立ち会い返骨する方式の2つに大別される。
- 供養は、共同供養(ペット合同供養塔への納骨など)、個別供養(ペット墓地・ペット霊園など)、自宅供養、遺骨や遺毛を使用したメモリアルグッズの制作など、多岐にわたる。
ペット葬送ビジネスの動向
ペットのコンパニオンアニマル化により、ペットが亡くなった際に人間同様に火葬したり供養する飼い主が増えている。環境省が2012年に行った調査によると、飼い主の約4割が民間のペット葬儀会社を利用しており、市場規模は拡大基調にあり300億円を超えていると推計されている。ペット葬儀・供養の種類・費用を紹介する。
葬儀(火葬)の種類
葬儀の種類としては、火葬が基本となる。火葬以外では土葬という選択肢があり、日本では自宅の庭などの私有地への土葬は法律上は問題にならないものの、土に還るまでに要する期間(条件により数年~数十年)の間に地表に露出してしまう可能性や近隣への腐敗臭の影響などを考慮すると、犬や猫などの一定程度の大きさの動物であれば深さ1メートル程度は掘る必要があり、相応の労力を伴う。なお、河川や公園、他人の土地などに無断で土葬することは法律で禁止されている(廃棄物の処理及び清掃に関する法律5条)。
火葬の種類は、運営主体と方式により分類される。運営主体は大きく3つに分類され、①自治体、②寺、③民間企業に依頼することが出来る。方式は大きく2つに分類され、①遺体を運営者に預けて埋葬まで一任する方式と、②火葬に飼い主が立ち会い返骨する方式に大別される(一括方式でも火葬への立ち会いは可能などの場合もある)。
種類 | 内容 | 費用目安 (体重が小型犬程度の場合。 アイペット損保調べ) |
合同火葬 | 自治体による合同火葬 寺や民間業者による合同火葬 |
2,000~5,000円 15,000~20,000円 |
個別火葬 (寺・民間企業) |
一任(返骨なし) 立会(返骨あり) |
15,000~30,000円 17,000~70,000円 |
移動火葬車 (民間企業) |
一任(返骨なし) 立会(返骨あり) |
15,000~20,000円 18,000~25,000円 |
土葬 | 自宅の庭などに埋める | – |
自治体による火葬
ペットの遺体は法律上、一般廃棄物に分類されるため、飼い主が依頼すれば有料で自治体の焼却炉で処理してもらうことが出来る。自治体によっては動物専用炉を設けている場合もあるが、多くの場合は通常の焼却炉で他の動物や廃棄物と共に処理され返骨はされない。
寺による火葬
ペット墓地やペット納骨堂を運営している寺ではペット専用の火葬場を設けている。設備により、他のペットとの合同火葬のみの場合や、一体での個別火葬が可能な場合があり、お骨上げや読経なども対応している寺ではこれらのオプションの追加により価格に幅が出る。
民間企業による火葬
民間企業の場合は、火葬炉を搭載した専用車「移動火葬車」を保有していることが多い。移動火葬車は無煙無臭処理が施され、外見からは火葬車とは分からない配慮がなされている。基本プランとしては移動火葬車がペットの遺体を預かりに飼い主宅を訪問し、火葬から埋葬まで一任する形式としている場合が多く、オプションとして火葬中は飼い主宅の近隣を走行しながら30~40分程度で火葬を完了し、飼い主宅に戻りお骨上げ・返骨が可能なプランなどが用意されていることが多い。
供養の種類
火葬後の供養の種類としては、①共同供養、②個別供養、③自宅供養、④その他に大別される。
種類 | 内容 | 費用目安 (火葬代含まず) |
共同供養 | 共同墓地(合同供養塔など)への納骨 | 無料~20,000円 |
個別供養 | 屋内(霊堂、霊座) 屋外(墓石、ガーデニング) ペットも入れる人間用墓地 人間用墓地付属の動物霊園 |
6,000~60,000円 永代使用料・墓石代:165,000円~ 永代使用料・墓石代:1,700,000円~ 20,000~200,000円 |
自宅供養 | 自宅にミニ仏壇やメモリアルスペースを作り骨壷を安置する | 10,000~85,000円 |
その他 | 遺骨や遺毛を使用したグッズを作る(アクセサリー、ストラップなど) 粉骨して散布する海洋葬など |
1,500~2,800,000円 10,000~270,000円 |
共同供養(合同供養塔など)
共同供養の場合は寺などが運営するペット専用の合同供養塔への納骨が主であり、火葬を依頼した寺であれば無料で納骨してくれる場合もある。
個別供養(ペット墓地・ペット霊園など)
個別供養については、寺が運営するペット墓地や、宗教法人や民間企業が運営するペット霊園などに納骨する形となる。屋外タイプではペット墓地が代表され、墓石に名前やメッセージを彫ることが出来たり、墓地によっては複数頭の納骨を可能としているケースもあり、価格の幅が広い。また、近年のニーズの高まりを背景に、ペットの骨壷も一緒に納められる人間用の墓地も登場している。屋内タイプでは霊堂や霊座で自分のペットの専用スペースを買い、骨壷の他に写真を飾ったりお供え物を置くことができ、屋外タイプと比較すると費用が安く抑えられる。
自宅供養
自宅供養の場合は、火葬した後に骨壷を自宅に持ち帰り、家の中にペット用のミニ仏壇やメモリアルスペースが用意されることが多い。長期間にわたり自宅に骨壷を置いている場合もあれば、一定期間保管した後に、吟味したペット墓地や霊園に納骨したり、自宅の庭に埋めたり、飼い主とペットが一緒に入れる墓を購入するなど、多種多様な形で供養される。
その他の供養方法
その他の供養方法としては、ペットの遺骨や遺毛を使用したグッズの制作(遺骨から作るアクセサリー、遺毛から作るストラップなど)や、ペットの写真を元にした3Dプリンタによるオリジナルフィギュアの制作、遺骨を粉骨してパウダー状にし船の上から海に散骨する海洋葬などがある。
【参考ページ】
■自宅でペットを看取った際にするべきこと
ペットが亡くなった後、自宅でどのようにお別れをしてあげたらよいか。本記事では、ペットを自宅で安置する方法についてご紹介しています。
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