日本で唯一、破れない鍵付き網戸がペット飼育者にウケる理由
株式会社 長尾木鋼:
㈱長尾木鋼は「お客様の立場に立った製品作り」を目標としてアルミサッシやアルミフラッシュドアなどの製品の販売・製造・施工を一貫して行なっている。
同社では顧客のニーズに最大限に応えられるよう、機能、防犯、安全、環境、デザインに配慮した商品を取りそろえている。また、防犯性と通気性に優れた破れない網戸【SOLID-FLOW(ソリッド・フロー)】は、ペットや自然に優しい製品として注目を集めている。
ペットにも優しい、鍵のついた破れない網戸とは・・・
貴社の製品「ソリッド・フロー」について教えてください。
ソリッド・フローは通常の網戸に強度な防犯性能を加え、通気性とデザイン性の両方を兼ね揃えた新しい防犯商品です。高強度のステンレスワイヤーのため、ナイフやハンマーでも破れることはありません。このような特徴があり、ペットがいたずらをして網戸を引っかいても心配要りません。また、網戸を施錠することが可能なので、窓を開けたまま外出をすることができます。外気を部屋に取り込むことで外出時に室内の通気性を保つだけでなく、虫の侵入やカビの発生を防ぎペットや植物にとっても優しい環境を作り出すことが可能です。他にも、ソリッド・フローを導入して冷房の使用を控えた場合、ペットやご自身の健康面で期待が持てますし、省エネにも繋がるでしょう。
網戸に鍵をつけた理由は顧客の声
創業当初からこのような網戸を取り扱っていらしたのでしょうか?
もともと当社では、サッシ関係の販売をしていました。お世話になっているお寺のご住職さんと話しをする中で、空気の入れ替えをする際にドアを開けっ放しにするが、仏像に万が一のことがあった場合は不安だとお聞きしました。お寺は建物の構造上の理由から、夏は暑く冬は寒いです。1年中新鮮な空気をお寺の中に入れるために、風通しが良いだけでなく防犯性に優れたサッシをつくりたいという想いから思考錯誤を重ねて格子など作成してみましたが、建物の雰囲気にそぐわないデザインとなってしまいました。
多くの方がお持ちのイメージ通り、網戸というものは強く蹴れば抜けますし、簡単に破れてしまいます。作り手としては、そのような網戸に鍵をつけるという発想自体がありません。しかし、お客さまから「網戸に鍵をかけることはできないのですか」というお声をいただくことはありました。技術的には網戸に鍵をつけることは可能ですが、カッターナイフで網を切られたら、ひとたまりもありませんよね。そんな中、ある展示会で破れない網戸の素材となるステンレス製の「網」と出会うことができました。それを網戸としてサッシと組み合わせれば全て解決するのではないかということで、商品化したのです。
ソリッド・フローは鍵をかけることのできる網戸です。海外でもこの網を使った商品を販売していますが、当社で購入した方が輸送にかかるコストを削減することができます。また、当社の製品は日本の住宅事情やサッシの規格に合わせた製作をしているので日本の建物と相性が良いと思います。
丈夫で長持ち!素材と製造方法による劣化の防ぎ方
素材も工夫されていると伺っています。その他に、一般的な「網戸」との違いはありますか?
技術的な話になるのですが、網戸の劣化には2パターンあります。一般的に網戸の網というのは、周りのゴムによって押さえられています。そのゴムが劣化をして隙間が空いてしまうのが一般的な劣化です。もうひとつは、何かしらの物体が網にぶつかったり刺さったりして穴が空いてしまうパターンです。
ソリッド・フローの網はゴムを使用せずに特殊な機械を用いて両サイドを織り込んでいるため、劣化の心配がありません。ちなみに網の材料は純日本製でして、機械で織り込む作業はタイの工場で行っています。機械自体も特殊で、ドイツのとあるメーカーしか製造していないようです。似たような商品は他国にて存在するようなのですが、ソリッド・フローと同様の強度と品質を持つ商品は他にはないと自負しています。
以上のことから、商品は半永久的に持つと思います。お客さまから商品の張り替えに関してご質問をいただくことがありますが、その必要はないとお答えしています。丈夫な分、お手入れは普通の網戸よりも簡単で、車を洗う様なブラシでゴシゴシと洗っていただいても構いませんよ。
網戸の取り付け方から鍵の取り付け場所までオーダーメイドにこだわる理由
ソリッド・フローの取り付けは、一般的な網戸と比較して高価なのでしょうか?
カッターナイフで簡単に切れてしまう一般的な樹脂製の網戸は1万円くらいで設置できます。ステンレス製ですと2万円くらい。当社の商品が10万円くらいですので、一般的な網戸の張り替えの10回に相当します。「10回も網戸を貼り替えることはあるのだろうか」と疑問に思う方もいらっしゃるかと思いますが、幼稚園児やペットがいたずらをして網戸を破く頻度は予測できませんよね。しかも鍵の場所を自由に調整できるので、上の方に付けておけば幼稚園の先生や保護者、ペット飼育者のみが網戸の開閉をすることができ、脱走を防ぐことができます。今の時期(取材は5月末)は冷房を付けるのには早いですし、窓を開けっ放しにして外出するのは不安ですよね。ペット飼育者から「エアコンを付けっ放しにするのは非経済的だとしても窓を締め切るのは熱中症になる恐れがあるため、ソリッド・フローであれば安心だ」とご好評をいただいています。一方でソリッド・フローの導入が防犯目的の場合、泥棒に入られて怖い思いをされた方が多いです。先日、ソリッド・フローを設置した直後に泥棒の侵入を免れたお宅がありました。網戸に残った痕跡から、侵入することを諦めて逃げて行ったことが分かりました。先程も申し上げたように、ソリッド・フローは頑丈なだけでなく鍵を取り付けることが可能です。鍵を取り付ける部分は、外から見ると光の加減で鍵の存在が分かりにくい作りになっています。ソリッド・フローの効果を改めて実感した瞬間でした。
網戸の設置にお客さまのご自宅まで出向かれる理由を教えてください。
いくら丈夫な網戸でも、開いてしまったら防犯上意味をなさないので、ソリッド・フローを取りつける際には少しだけ穴を開けさせていただいて鍵の取り付けをしています。ですから、商品をお渡しして「後は自分で取り付けておいてください」というのは難しいのですよ。カスタマイズは当社の得意分野ですので、取り付ける場所に合わせて網戸の大きさを変更したり鍵の位置を調整したりと、いろいろなケースにも対応することができます。
販売を始めてから気がついた、意外な顧客
どのような方がソリッド・フローを購入されるのでしょうか?
法人ですと、幼稚園・保育園からのご注文が多いです。例えば幼稚園からは、「網戸を取り付けたくても腕白な園児がいたずらをする度に網戸を貼り替える必要があるので手間とコストがかかる。しかし、これなら貼り替えの必要がないためランニングコストを抑えられそうだ」と納得して採用いただいております。先日も筑波の幼稚園にソリッド・フローを設置させていただきました。介護関係では、ソリッド・フローを設置することによって風通しをよくして部屋の中に臭いがこもることを防いだり、網戸に鍵をかけることによって徘徊される方の転落防止となったりするので、ご好評をいただいております。興味深いのは刑務所からのお引き合いです。刑務所や拘置所というと網戸の代わりに格子があるというイメージをお持ちの方が多いと思うのですが、ソリッド・フローを設置すれば網目が細かく紐を通すことができないため、格子に紐を通しての自殺を防ぐことができます。個人宅ですと、防犯目的や、ペットのいたずらや脱走の防止、健康への配慮からソリッド・フローを選ばれる方が多いです。
販売当初からペット飼育者のニーズを意識されていましたか?
もとは防犯目的で作り始めたのですが、ソリッド・フローの宣伝・販売をしているうちに、意外にもペット飼育者からの問い合わせが多いことに気が付きました。実は、個人宅のお客さまの半数近くがペット飼育者なのですよ。私自身が動物を飼っていないので、ペット飼育者のニーズをつかむことができず、「網戸はサッシにくっついているので建築方面にアピールしよう」と思っていました。しかし、お客さまとの対話からペットは「家族の一員」であることを知り、この大切な家族のために「高価でも快適な環境をつくってあげたい」方が多いと気づいたのです。ペットが網戸にいたずらをするとか、ペットの健康のためにも冷房を極力使いたくないというペット飼育者のニーズを知ってから、プロモーション方法をペット飼育者向けに変更しました。この商品を望まれている方の多くは、自宅にいる時間の長い主婦層です。展示会等で当社のブースにペットの置物を設置して興味を引くことで、ブースに立ち寄っていただく機会が増えました。今後はペット関連の展示会にも出展して行きたいと思います。
ソリッド・フローを選択されるペット飼育者は犬・猫飼育者のどちらが多いのですか?
データとして正確な数値を取っているわけではありませんが、猫飼育者にご要望をいただく場合が多いのではないでしょうか。猫の飼い主には多頭飼育をされている方が多いことが関係しているのかもしれませんが、製品の設置に伺った際、猫が周りをチョロチョロしていることが多い気がしています。最近の猫ブームや猫の飼育頭数の変化が関係しているのかもしれません。最近の猫ちゃんは賢いようで、5センチでも隙間が空いていれば自分でドアや網戸を開けて外に出て行くようです。
以前、「ペットの爪は傷つかないのですか」という質問をいただいたことがあり、猫を飼っている従業員にお願いをして実験をしたことがあります。生え始めの時は先が尖っているので注意をする必要があるかもしれませんが、生活しているうちに爪が丸くなっていくので心配いらないとのことでしたよ。
物件の差別化に!ソリッド・フローがオーナーにもたらすメリット
都心からの注文が多いのでしょうか?
戸建関係の注文の多くは関東近郊からいただいています。もちろんマンションからもお声掛けをいただくことがあります。マンションの場合、賃貸ですと大家さんから承諾を得る必要があります。マンション毎に異なりますが、サッシはマンションの共有部分に相当する一方、網戸は個人の所有物となります。ですから、マンションの場合は大規模改修時に御施主さまからリクエストを頂戴して網戸の取り換えをするパターンが多いです。今後はマンションを建てる段階で網戸を導入していただくことも想定しています。
ペット可のマンションからの引き合いが多いのでしょうか?
まさにその分野に切り込んでいきたいのですが、新築やリフォーム関係は十分に開拓できていない状況でして、販売チャネルを複線化することは、描いている戦略の一つです。以前、ペット不可だったマンション一棟を買い取り、ペット可にリノベーションするお話をいただきました。御施主さまとしては、物件の差別化を目的としてソリッド・フローを導入したいものの、建物全てとなると予算が厳しいというお声をいただきました(笑)。段階的に商品展開を充実させていきたいです。
ソリッド・フローで市場の常識を変える
どのような経緯でソリッド・フローの存在を知る方が多いのでしょうか?
定期的にテレビや雑誌等の取材を受けたり広告やチラシ、建築系の専門誌で紹介させていただいたりしていますので、メディア経由で知る方が多いと思います。
東京以外では名古屋の駅前に建築資材に限定した展示場があり、一部を間借りしています。来場される方からは興味を持って頂くことが多く、そこでのお声掛けも多いです。
しかし、建築業界からの問い合わせはほとんどありません。同業者からしてみると、「1枚10万円の網戸なんて売れるわけがない」というのが業界の常識です。宣伝をする際に困っていることは、ソリッド・フローがあまりに自然すぎて写真では商品の特徴や良さが伝わりにくいことです。自社HP上には網戸をハンマーで叩いてみる、カッターで切ってみるといった動画を掲載するなどして性能のアピールをしています。
この網戸を実際にご覧になると、網戸の良さが伝わってスムーズに購入までに至るケースが多いです。先日も介護保険のフェアに出展したところ、当社のブースに老人ホームと幼稚園の運営をされている方が立ち寄られました。園児が網戸を破る度に網戸を貼り替えていたようなので、この網戸を見てすぐに気に入っていただき取り付けに伺いました。発売してから1年弱が経ちましたが、当社の製品には顧客開拓の余地は十分にあると思います。当社の製品は決して安価ではありませんので、時間とお金に余裕があるペット飼育者の方と親和性が高いと思っています。今後は、ペット系のメディアを通じてペット飼育者向けにアピールをして、ペットと幸せに暮らせる社会をつくる一助となりたいです。
法人名 :株式会社 長尾木鋼
住所 :愛知県北名古屋市九之坪鴨田107番地(本社)
東京都渋谷区代々木3丁目18-1 鈴木ビル代々木1階(東京営業所)
設立年日 :1974年
代表 :代表取締役会長 長尾 春水
代表取締役社長 長尾 英二
事業内容 :「お客様の立場に立った製品作り」を目標としてアルミサッシやアルミフラッシュドアなどの製品の販売・製造・施工を一貫して行なう。
防犯性と通気性に優れた破れない網戸【SOLID-FLOW(ソリッド・フロー)】は、ペットや自然に優しい製品として注目を集めている。