ペット版Airbnb:DogHuggyを率いる19歳起業家が目指す犬の幸せ(後編)

2016年2月22日

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株式会社DogHuggy
代表取締役 長塚翔吾氏


DogHuggy:

高校在学中の2015年2月に投資育成事業・ベンチャーキャピタル事業を展開する株式会社サイバーエージェント・ベンチャーズの出資を受けて株式会社DogHuggyを設立。(当時18歳)同年3月に麻布大学附属渕野辺高等学校を卒業。旅行や外出で犬をお世話して欲しい飼い主と、現在もしくはこれまでに犬の飼育経験があるホストをマッチングするサービスDogHuggyを開始した。

前編では、長塚さんが起業に至った経緯からサービス概要まで伺った。後編では、DogHuggyの今後の展開やペット業界の「課題」に迫る。

DogHuggyを通じて新たな犬との関わり方を日本社会に提案したい

今後の事業展開を教えてください

私自身が教育に興味を持っていることもあり、「DogHuggyスクール」を通してホスト(預かり主)の育成をするというサービスを計画しています。例えば飼育経験に乏しくても犬に対して愛情を抱いている方に対して私たちが犬との接し方や気を付ける点を教えることで、審査を通過した方がホストになれる仕組みを作りたいと思っています。というのも、正しく犬と接するためには預かり手や飼育者の知識や技術のレベルを底上げするところから始めないといけないと思っているからです。そこで、先程のDogHuggyの話が繋がってきます。犬を飼育していない方でも「DogHuggyスクール」を通じて市場を活性化させる仕組みを作るつもりです。ホストの育成がDogHuggyのマッチングサービスを盛り上げることに繋がり、良い相乗効果が生まれ、市場が広がっていくと思います。

飼育に関する「教育」が一大テーマなのですね。学校での教育についても考えはありますか

E教育機関で体験を通じて学ぶ機会が少ないことに大きな違和感を抱いています。それこそ、実務なのにペーパー試験だけで受かる資格は形だけのものではないだろうかと思います。例えば「犬ってどういう生き物なのだろう」と犬の性質や特徴について考えた上で犬と接している人は日本にそれほど多くないはずです。教育は方法論だけでなく、もっと本質的な話をしなければいけない。思想のない教育ですと本質にたどり着けないと思います。高校3年生の授業での経験を通して社会課題に目を向ける人や実際に行動する人の少なさを知り、「誰もやらないのであれば自分がやろう」という思いでここまでやってきました。だからこそ、自分が教育に関わって変革をしていきたいと思います。

具体的に取り組まれていることはあるのでしょうか

先日、ペットショップや動物園などのペット業界で働いている新卒の1-3年生までを集めて動物の幸せについて考えるワークショップを行いました。自身の携わっている業種から物事を判断しがちで視野の狭い人が多いということに気が付きました。視野を広げるという点では、私自身を含めて若いうちに多くの人と知り合っておく必要があります。事業やワークショップを通じて本質を考えることの重要性について広めていきたいです。息の長い取り組みですが、私たちがやっていかなければならないという使命感を持っています。今後も、このようなイベントは定期的に開催していくつもりです。

ペット業界の発展に必要なのは、新しい文化を創っていくこと

長塚さんから見たペット業界の課題を教えてください

G殺処分問題の解決は避けて通れない問題だと思います。犬を救うだけでは対処療法であって、根本的な解決にはならないと思います。ペットの供給量を減らして飼い主を一定数増やせば殺処分はそのうちなくなるという考え方もできますが、私は供給量そのものを減らす必要はないと思っています。それよりも、飼育途中でペットを捨てる人の数を問題だと考えています。責任を持ってペットの世話をできる飼い主を増やして殺処分を減らしたいと思います。

飼い主への教育を通じて正しい知識を持ってペットに接する人を増やすことで、ペットの問題行動が減ればペットを捨てる人も減るでしょう。また、ペットの習性について知ることで、自身のライフスタイルを見つめ直し、ペットが飼えるかどうかの判断基準ができますよね。飼い始めてからでも、私達がフォローアップしていく仕組みを作れば犬も人も共に幸せに暮らしていけると思います。

また、ビジネスの基本はユーザーに合わせることだと思うのですが、今のペット業界に必要なことは、新しい文化を創っていくことだと思います。いつまでたっても顕在化しているニーズのみを追っていたら、ペット業界は発展していかないと危惧しています。ペット業界が発展していくためは教育や啓蒙が大事であり、DogHuggyの原点はそこにあります。誰しもに当てはまるシチュエーションは、ペットを預けることなのではないでしょうか。例えば、ホストは犬と触れあいたいから犬のことを学びます。モチベーションを創って上げていくということがやりたくて、DogHuggyという構想も思い付いたくらいです。

起業を経験して自身に起こった変化は、人の助けを借りること

もうすぐ起業から1年が経過しようとしていますが、実際に起業されてみていかがですか

貴重な体験をさせて頂いていると思います。起業の一歩を踏み出さなかったら出会えなかった経験をたくさんできました。会社を作る、売上を上げる、ホストを集める営業活動、ユーザーを集めるマーケティング、全てが初めてのことだらけです。元々は何でも自分で解決しようとするタイプの人間だったのですが、起業してみると自分の力だけではどうにもならないことがたくさんあることに気づき、心の底からお願いするようになりました(笑)。

ただ、最初は人への頼み方が分かりませんでした。悟り世代の悪いところなのですけどね(笑)。ある社長の方には大変お世話になっておりまして、会社のことから人としての振る舞いについてまで相談に乗っていただいています。

起業をしてから最も困ったことを教えてください。

Fお金に関することです。私は起業するまで小遣い帳すら付けたことがありませんでした(笑)。お金に関してはVCである株式会社サイバーエージェント・ベンチャーズの方々にサポートして頂いています。CFOのような役割を果たしていただいており、大変頼りにしています。お金の部分に関しては、専門家を頼りつつ自分でも知識・経験を身につけていければと考えています。

 

今後の成長戦略についてどのように考えていますか?

この1年間の経験を通じて大体の感覚は掴めてきたので、会社の組織化を視野に入れています。やはり事業を拡大するためには会社の組織化が不可欠だと感じています。既に採用候補も何名か決まっており、今後はそれぞれの得意分野で役割分担をしていくつもりです。最近は獣医学科の学生達がインターンとして手伝ってくれているので、今後はその中から採用していきたいです。社会に出る前に彼らが、「ベンチャー企業」に触れる機会を用意できたら良いと思っています。初めて働く時に経営者として起業をすることができたのは、多くの方のお力添えのお陰だと思っています。起業をしてからこれまでに学んできたことを若い人に還元することで、恩返しをしていきたいです。

株式会社DogHuggy概要

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会社名:株式会社DogHuggy

本社所在地:〒163-0225 東京都新宿区西新宿2丁目6-1 新宿住友ビル25F

設立年月日:2015年2月9日

代表取締役:長塚翔吾

事業内容 :犬の飼い主とホスト(預かり主)をマッチングするサービス「DogHuggy」の運営

 

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