動物の愛護及び管理に関する法律 ―令和元年改正について―

 

日本では、動物の愛護と動物の適切な管理を目的とし、「動物の愛護及び管理に関する法律(以下、動物愛護管理法)」が制定されている。この法律では、法施行後5年を経過した場合の見直し条項を規定されており、本記事では令和元年の法改正の概要について説明する。
※動物愛護管理法は、昭和48年に議員立法で制定された法律です。平成11年、平成17年、平成24年、令和元年に議員立法による主たる法改正が行われています。

過去の法改正について

これまでの動物愛護管理法改正について
1973年(昭和48年) 動物愛護管理法制定
1999年(平成11年) 法改正(名称の変更、動物の適正な飼養及び保管、動物取扱業の規制、周辺の生活環境の保全に係る措置、動物による人の生命等に対する侵害を防止するための措置、動物愛護担当職員、都道府県等の措置等、罰則の強化など)
2005年(平成17年) 法改正(基本指針及び動物愛護管理推進計画の策定、動物取扱業の適正化、個体識別措置及び特定動物の飼養等規制の全国一律化、動物を科学上の利用に供する場合の配慮など)
2012年(平成24年) 法改正(動物取扱業者の適正化、多頭飼育の適正化、犬及び猫の引取り、災害対応など)
2019年(令和元年)※

法改正(動物の所有者等が遵守すべき義務規定を明確化、第一種動物取扱業による適正飼育の促進、適正飼養のための規制の強化、都道府県等の措置等の拡充、マイクロチップの装着など)

※公布日:令和元年6月19日
※施行日:段階的に施行予定。
 第1段階施行期日:令和2年6月1日
 第2段階施行期日:公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日
 第3段階施行期日:公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日

令和元年の法改正の概要

【改正背景】

平成24年の動物愛護管理法改正の際に、法施行後5年を経過した場合の見直し条項を規定しており、「必要な検討を行うこと」として、以下の内容も規定された。

①幼齢の犬猫の販売等の制限(販売日齢の規制)
②マイクロチップの装着の義務づけ

上記の改正背景を踏まえ、令和元年では下記の内容について改正された。

【令和元年の法改正ポイント】

1.動物の所有者等が遵守すべき債務規定を明確化
2.第一種動物取扱業による適正飼養等の促進等
3.動物の適正飼養のための規制の強化
4.都道府県等の措置等の拡充
5.マイクロチップの装着
6.その他

1.動物の所有者等が遵守すべき債務規定を明確化

動物の所有者又は占有者は、環境大臣が関係行政機関の長と協議して動物の飼養及び保管に関しよるべき基準を定めたときは、当該基準を遵守しなければならないこととする。

2.第一種動物取扱業による適正飼養等の促進等

(ア)登録拒否事由の追加
(イ)環境省令で定める遵守基準を具体的に明示
   遵守基準:飼養施設の構造・規模、環境の管理、繁殖の方法等
(ウ)動物の販売場所を事業所に限定
(エ)出生後56日(8週)を経過しない犬又は猫の販売等を制限

3.

動物の適正飼養

のための規制の強化

(ア)適正飼養が困難な場合の繁殖防止の義務化
(イ)都道府県知事による指導、助言、報告徴収、立入検査等を規定
(ウ)特定動物(危険動物)に関する規制の強化
  ・愛玩目的での飼養等を禁止
  ・特定動物の交雑種を規制対象に追加
(エ)動物虐待罪に対する罰則の引き上げ
   殺傷:懲役5年、罰金500万円
     (※改正前)懲役2年、罰金200万円
   虐待・遺棄:懲役1年、罰金100万円
     (※改正前)罰金100万円

4.都道府県等の措置等の拡充

(ア)動物愛護管理センターの業務を規定
(イ)動物愛護管理担当職員の拡充
(ウ)所有者不明の犬猫の引取りを拒否できる場合を規定

5.マイクロチップの装着等

(ア)犬猫の繁殖業者等にマイクロチップの装着・登録を義務付ける(義務対象者以外には努力義務を課す)
(イ)登録を受けた犬猫を所有した者に変更届出を義務付ける

6.その他

(ア)殺処分の方法に係る国際的動向の考慮
(イ)獣医師による虐待の通報の義務化
(ウ)関係機関の連携の強化
(エ)地方公共団体に対する財政措置
(オ)施行後5年を目途に必要な措置を講ずる検討条項

【規定内容について】

「遵守基準」について、順次具体的な内容を導入する方針。令和3年までの省令施行を国は目指している。

※数値規制の内容は、以下の通り。

・ケージのサイズなど飼育飼養の施設構造・規模・管理
・動物の飼養又は保管に従事する従業者の員数
・動物の飼養又は保管をする環境の管理に関する事項
・健康診断の義務付けなど疾病等に係る措置
・展示と輸送方法
・繁殖回数と方法

参照:環境省自然環境局 総務課 動物愛護管理室 「適正な飼養管理の基準の具体化について」
   https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/tekisei/h29_06/mat02.pdf
   (令和2年12月時点)

【参照ページ一覧】

・衆議院HP「動物の保護及び管理に関する法律の一部を改正する法律」

 http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/h146221.htm

・環境省自然環境局 総務課 動物愛護管理室「平成17年に行われた法改正の内容」

 https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/revise.html

・環境省自然環境局 総務課 動物愛護管理室「平成24年に行われた法改正の内容」

 https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/revise_h24.html

・環境省自然環境局 総務課 動物愛護管理室 「令和元年に行われた法改正の内容」

 https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/revise_r01.html

・環境省自然環境局 総務課 動物愛護管理室 「改正動物愛護管理法の概要」

 https://www.env.go.jp/council/14animal/mat51_1-1.pdf

 

関連ページ

【獣医師が解説】マイクロチップは義務になったの?メリットやデメリット、費用についてもご紹介!

▶ わんちゃんを飼育されている方はコチラ
▶ ねこちゃんと飼育されている方はコチラ