家族それぞれのペットロス ―男性のペットロス・子供のペットロス―

2016年10月4日

 

ペットロスは女性だけのものではない

ペットロスというと、一般的に女性が陥るものと思われがちかもしれません。ペットの世話を中心になって行いペットと最も長い時間を共にしていた専業主婦などが特に陥るイメージを抱かれがちですが、必ずしも女性のみではない問題です。ペットとの関係性や性差により、ペットロスの症状・必要な対処は様々なのです。

男性のペットロス

モイラ・アンダーソン著『ペットロスの心理学』によれば、「悲しみからの回復を妨げるのは、何よりも家族内のコミュニケーションの不足」だといいます。ペットロスとは?症状や克服方法、周囲の人の接し方についてでも紹介したように、ペットロスなどの深い悲しみからの回復においては、自分の気持ちを隠さず、感情をあらわにすることが非常に重要となります。思う存分泣いたり、ペットの写真を眺めたり、自分にとっていかにペットが特別な存在であったかを分かってくれる人と話したり、そういったことを自分に許すことが、結果的にペットロスからの回復を助けることとなります。精神分析学者のフロイトは、悲しみの克服方法について、「悲しみを悲しみ、苦痛を苦痛として味わうことが、唯一の克服方法」だとしています。この過程から逃げてしまうと、その後の生活においてトラウマのように失ったペットの記憶がよみがえり延々と苦しんでしまいがちです。

しかしながら、特に男性の場合、感情表現の方法が分からなかったり、家族の前では恥ずかしさから悲しみを表現できない人が多いのが実態です。男性からのペットロスの相談で多いのは「この悲しみから早く抜け出る近道はありませんか」という内容だそうです。また、男性の場合は感情をあらわにすることがうまく出来ないばかりか、自分の苦痛に気付きたくないのにその苦痛に目を向けざるを得ないとき、怒りが湧き上がるという特徴があります。他の家族が悲しんでいるとき、男性が怒ったり批判したりすることが多いのは、他の家族が悲しんでいることに対して怒っているのではなく、自分がもっと容易に制御できなければならないと思っている感情に対し、注意を向けざるを得なくなるから怒るのです。

前著では、男らしさを装ってその後ろに悲しみを隠すのではなく、自分から進んで「ペットを失った家族の一人」になり、喪服の過程を完全に共有することを推奨しています。

子供のペットロス

幼い子供がペットを失った場合、大人とはまた違う関係性をペットと築いていることから、その悲しみはとても深く複雑なものとなり、悲しみをきちんと受け止めさせることが重要となります。前著は、小さな子供には、「死んでしまったペットは、今どこにいると思うか」を話させることが、気持ちを整理させるのに有効だと助言しています。

悲しみへの対処法としては、亡きペットの持ち物を整理したり、楽しかった時の思い出をつづったり、餌の時間や散歩の時間に悲しみに陥らないように一日のスケジュールを変える(他のことをする時間に充てる)などの行為が、徐々に悲しみのステージから抜け出す手助けとなります。子供と一緒にこうしたことをしてみることも有効かもしれません。

また、悲しみのあまり新しいペットを早く与えてやろうとする親もいますが、子供が自ら新しいペットを欲しがるまで待つように前著は強く警告しています。子供がまだ亡きペットへの悲しみを受け入れられていない状況で新しいペットを迎えてしまうと、両親がそのペットを可愛がる様子を見て、亡くなったペットが可哀想、亡くなったペットのことはもう忘れてしまったのか、などと感じてしまい、新しいペットに対し敵意を抱いてしまうこともあります。新しいペットとの関係をスムーズに築くためには、ペットの死を悼みそれを受け入れる十分な時間を設けることが非常に重要です。

新しいペットを家族に迎える

アイペット損保の調査によると、ペットを失った悲しみを癒すきっかけは「新しいペットを迎える」が最も多い結果となっています。

ペットとお別れした悲しみを癒すきっかけとなった出来事
データ⑨v2

アイペット損保のリリースより引用

しかしながら上記の通り、あまりに早く迎え入れてしまうことには問題もあります。特に、飼い主が新しいペットを「亡くなったペットの代用」と(無意識のうちにでも)考えてしまうと、新しいペットと亡きペットの違いが細かく気になり、新しいペットのありのままの姿に愛情を注げなくなってしまいます。

前著は、新しいペットを迎えると、亡くなったペットと比較する時期が必ずあるとした上で、亡くなったペットを悼む時間が十分に設けられていれば、「新しいペットはすぐにもかわいいことをいろいろして、愛さずにはいられなくなる」といっています。

また、新しいペットを迎え入れるにあたっての助言として、新しいペットは亡くなったペットとはどこか違うような子にすることを推奨しています。種類・大きさ・色・性別などの何かを変え、名前も勿論新しくつけてやるべきです。まるでコピーしたようにそっくりでは、少しの違いにより以前のペットより「劣っている」と感じてしまう恐れがあります。

新しいペットは、あくまで、これから時間をかけて理解していく「新しい友」と考えることが肝心であり、そのように考えられるだけの十分な時間が必要とされます。その時間は人により3カ月であったり1年以上であったり、様々です。

家族それぞれがペットの死を受け入れられたとき、新しいペットを迎え入れることは、家族の悲しみを癒し、亡きペットがそうであったように、また豊かな生活をもたらしてくれることでしょう。

 

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