ペット建築士×コンセプト~丈夫でエコなキャットウォークを目指して

2016年4月7日

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株式会社コンセプト 営業開発部 マネージャー 片谷国康氏(左)
一般社団法人ペットライフデザイン協会代表理事 わんにゃん健康住宅研究所代表 一級建築士 清水満氏(右)


ニャンダフルシェルフについて:

デザインダンボールの企画制作をする株式会社コンセプトと、ネコ好き一級建築士の共同開発によって生まれた商品。猫の生態や行動を十分に鑑み、また実際の検証によって作られた「安心・安全」の製品。協同開発者である「猫・清水」こと 清水満 氏は、一級建築士として建築物の設計を手掛ける一方で、人と猫の共生をテーマにした住宅のリノベーションをはじめ、一般社団法人ペットライフデザイン協会代表理事、わんにゃん健康住宅研究所代表を務める、業界では知る人ぞ知る存在。

清水さんのこれまでのご経歴を教えてください。

concept5私は北海道で生まれ、大自然の中多くの動物たちと触れ合える環境で育ちました。大学卒業後にインテリアデザイナーを目指して上京し、インテリアデザイン事務所に勤めた後、建築インテリア設計事務所「スタジオ・ナビ」を設立し独立しました。現在「ペット建築士」として主に猫と幸せに暮らす住宅普及のために活動しておりますが、独立当時から猫に特別関心があった訳ではなく、自動車のショールームやレストランなど、商業施設の設計やマンションの企画等をしていました。

ペットと飼い主が幸せに暮らせる住環境を設計できるのは獣医師ではない、建築士の私ではないか。

清水さんが「猫と住む住宅」に興味をお持ちになったきっかけは何だったのですか

清水氏:「猫と住む住宅」について取り組み始めたのは今から6~7年前です。約8年前に猫を偶然拾い、当時住んでいた家が猫飼育可住宅ではなかったのでそれを機に引越しをしました。ですが、落ち着く間もなく妻がもう一匹猫を拾ってきたのです。案の定、先住猫は新しく来た子猫や引越し先の住宅等、新しい環境に馴染めず体調を崩してしまいました。近くの動物病院に何回か足を運ぶうちに獣医師さんと親しくなり、色々な話をするようになった頃、突然こんなことを言われたのです。

「ペットの病気や怪我については飼い主さんにアドバイス出来ますが、生活の根源である「住む」ということに関して、つまりペットの住環境についてはアドバイス出来ないんですよね。」

この言葉が、私が「ペットと住環境」ということに興味を持ち始めたきっかけだったと思います。私は「じゃあ建築士だから、ちょっと調べてみます」と言って、犬や猫の住環境について調べてみました。それまでペット業界に知り合い等ほとんどいなかったのですが、唯一のペット業界に携わっている友人に色んな方を紹介してもらい、ペット業界の方との人脈を築いていきました。専門的な資格も取得した方が良いとアドバイスをいただき愛玩動物飼養管理士の資格も取りましたね。ペットのことについて勉強していくうちに、ペットと一緒に住んでいるだけでは分からなかった多くのことに気付くことができました。獣医師のセミナーや、行動学の先生のお話を聞くと、今でも「あーそうなんだ」とペットと長年暮らしてきた私でも思うことがあります。私は建築士です。猫も幸せになれて、かつ飼い主さんも幸せになれるような住環境を創りだすことができると思いました。

片谷さんは長年ダンボール業界に携わっていらしたのですか

concept2片谷氏:私はデンマークに本社を置く補聴器メーカーに20年ほど勤めておりました。直営店舗を50店舗持つ会社で、私はそこでマーケティングの責任者を長くやっており、M&Aなど様々な経験をしました。退職を機にこの経験を生かして個人でプロモーションのプランナーをしたいと思っていた矢先、現在勤めている株式会社コンセプトの社長と出会いました。当時の株式会社コンセプトは、現在のような強化ダンボールを使用したデザインダンボールの企画制作を行っているような会社ではなく、印刷の仕事をメインにやっていました。

エコで安全で丈夫。強化ダンボールのもつ無限大の可能性

なぜ株式会社コンセプトが強化ダンボールを使用したデザインダンボールの企画制作をされるようになったのですか。

片谷氏:印刷業界というのは包装資材に関わるパッケージ印刷物等も取り扱いますので、梱包業者とお付き合いがあります。我々のお付き合いのあった梱包業者は、今コンセプトが扱っているいわゆる強化された「クラフトダンボール」を使用しておられました。コンセプトとその梱包業者との出会いは東日本大震災に遡ります。当時甚大な被害を被った石巻市にその梱包業者の工場があったのですが、幸いなことに少し内陸部にあったため被害を受けることはありませんでした。その梱包業者は「何か被災者のために出来ることはないか」と彼らが扱っていた資材を使って体育館のパーテーションを作ったり、簡易トイレを作ったり、時には棺を作ったりと様々なものを作り一時期メディアの話題にも上りました。皆さん「ダンボール」と聞くと、床に敷いて寒さをしのぐというイメージがありますよね。しかし、その梱包業者が作っているダンボールは企業から依頼された精密な機械を梱包したり、そういったものを空輸したり船に乗せて運ぶために使われているため、宅急便で使われるような一般的なダンボールとは全く違うものなのです。ある時、偶然その梱包業者がその資材を使って家具に似た面白いものを空き時間に作られているのを見て、「この素材を使って、別な形に変えて商品化したら面白いのではないか」と思いました。それが今から3年前ですね。それからこのダンボール素材を使った製品の企画製造・販売にコンセプトが力を入れ始め、その時点からその事業をほぼ100%私が担当するかたちで東京で活動が始まりました。

やはり「ダンボール」と聞くと、耐久性がなく、水に弱いというイメージがありますが、コンセプトの製品で使用されている強化ダンボールの持つ一番の魅力とはどのようなところにあるのでしょうか。

concept3片谷氏:強化ダンボールの一番の魅力は、素材自体がすごく「エコ」なところです。もちろん、「軽い」「丈夫」といったこともあるのですが、一番と聞かれればやはりエコなところですね。我々の使用している強化ダンボールの一つに「トライウォール・パック」というブランドダンボールがあります。トライウォール・パックは、世界でいちばん厳しい規格といわれている米国連邦規格PPP-B-640dに適合し、その高い品質は世界中で認められてきました。一般的に皆さんがご存じのダンボールは原材料のうち70%~80%が古紙です。それを一回溶かして、漂泊して、さらに加工するという手順で作られています。しかしこの強化ダンボールの95%はバージンパルプと呼ばれる、古紙ではなく最初から木材を材料にして製造したパルプでできている(他社製品は約20%~30%の古紙を使用している)ため、環境だけではなく、人体にもすごく優しくできています。こんなにバージンパルプの割合が多いと、森林破壊を引き起こすのではないかと思いますよね。トライウォール・パックは持続的生産が可能な森林にのみに与えられるSFI(Sustainable Forestry Initiative:持続可能な林業イニシアティブ)の森から生産されたバージンパルプを使用しておりますので、森林破壊に繋がるような無計画な森林伐採は行われていません。環境にもエコ、人にも動物にもエコなダンボールなのです。

ところで、何故強化ダンボールを使用した猫製品を制作されようと思われたのですか。

片谷氏:そこ気になりますよね(笑)。はじめは強化ダンボールで椅子や机などの家具類を制作していました。私はダンボールのもつ波型の切断面、フルート面と言いますが、それが大変美しくて惹かれていました。この面が良く見えるような製品作りにこだわっておりまして、デザインもユニークなものを制作しておりました。ただショールームで我々の製品を展示したところ、皆さん「良いね!」とは誉めてくれるのですが、誰も買わないんですよ(笑)。一般的な家具が買える価格ですので、皆さんが抱く「ダンボールで作られているなら安いだろう」というイメージと乖離する部分があったのだと思います。もう少し実用的に使っていただけるものを制作しようと考えていた時に、「猫×ダンボール」という発想が浮かびまして、「これは、猫向けに活用できるのではないか!?」というところから作り始めました。しかし、これもまた先ほどと同じ状況に陥りまして(笑)。これはもう専門的な知見や知識、経験を持った方に頼るしかないと思っていた矢先に清水さんと出会いました。

デザインダンボールのプロと設計建築のプロが手を結んだ瞬間

片谷さんとはどのように出会われたのですか。

concept1清水氏:私は毎年ビックサイトで開催されているペットイベント「インターペット」に、ペットとのより良い環境を提案する「ワンニャンハウジングスクエア」のスタッフとして参加しています。昨年は「一般社団法人ペットライフデザイン協会」を仲間と一緒に設立したこともあり、主催者側としてメインステージで猫の被りものをして講演をしました。その講演を偶然片谷さんのお知り合いの方がご覧になっていたようです。ちなみに、猫の被りものは私の手作りなんですよ(笑)。やはりステージ上でおやじが話していてもつまらないので、以前から小規模のセミナーでは既製品の猫の被りものを被って話をしていました。ただ、私の頭には少し小さかったので今回のイベントに合わせて自分で作ってしまいまいた。

後日、私の講演を見て下さったその方から、「私の知り合いに猫のためのダンボール製品を作っている人がいるから会いませんか?」という連絡が来て、片谷さんにお会いすることになったのです。

猫用品の共同開発のお話を聞いて、清水さんは率直にどう思われましたか?

清水氏:率直に申し上げると、コンセプトさんが制作されている猫用品は価格が高い(笑)。現在の猫用品は海外で大量に生産されているため、高くても5,000円以下、だいたい2,000円~3,000円以下が一般的です。というのも、「猫が使うものは壊れても仕方がないね」という考え方が一般的で、安価な価格帯で販売されている用品が売れているのです。それが、2万円、3万円となってくると皆さん手を出しにくいですよね。片谷さんの悩みは猫用品を制作したいけれど、いくら工夫しても価格が高くなってしまうこと。一方、私の悩みは猫のためのステップ(階段)を家具として作りたいけれど、価格が高くなってしまうこと…。そこで解決策として思いついたのが、「普通のダンボールよりは価格が高いけれど、猫の用品ではなくてもっと建築的なものをダンボールで使ろう!」というものでした。それから色々打ち合わせを重ね、モニターさんにもご協力いただき、約半年かけてこの「ニャンダフルシェルフ」が生み出されました。

素材の魅力と綿密な設計により創られた飼い主と愛猫の“ニャンダフル”な空間

「ニャンダフルシェルフ」を設計される際に、特に猫の習性と行動に鑑みて設計されたところはどのようなところですか。

清水氏:猫が縦移動だけではなく壁面に大きく横移動できる構造にしたところです。通常のキャットタワーの場合、縦方向にしか動けませんよね。猫を飼育されている方は多頭飼いが多いと思いますので、縦移動しかできないとなるとキャットタワーの上の方が渋滞してしまうのですよ。また、猫の習性に鑑みて隠れ場となるBOXも用意しました。猫は隠れる場所があると落ち着けるみたいです。飼い主目線で言うと、透明のアクリル板を設置して猫の肉球やお腹が下から見えるようにしました。これは肉球フェチにはたまらないですよね(笑)。あとは軽量・組立式の製品となっていますので、移動が難しくないところも魅力です。釘やネジを一切使用しない設計のため、賃貸住宅でも安心してお使いいただけます。オプションで爪とぎや収納BOX、サイドステップなどを取り付けることも可能ですので、ご自宅のインテリアに合わせて自由に組み合わせることができます。こういった細やかな設計は建築士の私の腕の見せ所です。

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アクリル板の下から猫の肉球が見える、肉球フェチにはたまらない工夫

「ニャンダフルシェルフ」を購買されたお客様の反響はいかがでしたか。

片谷氏:一番の驚きは、愛用されている方々から一度もクレームをいただいていないことです。もちろん我々も自信を持って商品を提供していますが、やんちゃな猫ちゃんのことですので、実際何が起こるか分かりませんでした。しかし、清水さんの家にも試験的に設置してからもう半年ぐらいになるのですが、何一つ壊れていません。猫ちゃんが4匹乗っても全く揺れないですしね。お客様に製品の不具合などのご不便をおかけしなかったことに対して「安心した」という気持ちもありますが、それよりも今は喜びの方が大きいかもしれません。

最後になりますが、今後の展望について教えてください。

清水氏:皆さんが抱くダンボールのイメージを変えていくことです。私自身も片谷さんと出会うまでは強化ダンボールの存在を知りませんでしたので、価格を見ただけでは「高いな」と思ってしまうところがありました。しかし、実際に扱ってみると、強度、軽さ、耐候性、コスト、環境、どれにつけても優れています。猫専用の物件にモニターとしてニャンダフルシェルフを設置しているのですが、ご自身の目で「ニャンダフルシェルフ」の良さを経験していただけた方は購入していただけています。最近ではメディアに取り上げていただく機会も増えたのですが、今後はよりメディアやイベントを通して皆さまに「ニャンダフルシェルフ」の魅力をお伝えする機会を積極的に作っていきたいと考えております。また、お客様のご要望として、今の製品よりも小さいサイズがほしいという声もあります。お客様のニーズに耳を傾けて、今後も製品を開発していきたいと思っています。もちろん猫ちゃんのニーズもきちんと汲み取る予定です(笑)。

ニャンダフルシェルフの全体図
ニャンダフルシェルフの全体図

*後日談*

清水満氏が設計した保護猫カフェ「ネコリパブリック東京」にPEDGE編集部が伺いました。
ネコリパブリックは、地域の保護猫団体と協力して、保護された猫の里親探しを行いながら、猫とお洒落で素敵なライフスタイルを提案し、ビジネスとしても「自走」できることを目指す新しいスタイルの「自走型保護猫カフェ」です。
株式会社コンセプトが強化ダンボールを使って制作した猫の遊具で、常時20頭以上の猫がくつろいでいます。設置して一年が経ちますが、壊れた遊具はないそうです。

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キャットタワー「Cats」

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株式会社コンセプト

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社名      :株式会社 コンセプト

本社所在地   :〒010-1427 秋田県秋田市仁井田新田3-2-13 タウンハイツサイトウ7号

創立      :2007年9月21日

代表取締役社長 :齊藤 邦幸

事業内容    :

    • デザインダンボール製品の企画制作・販売
    • イベントブース什器の企画制作・販売
    • グラフィックデザインの企画制作
    • 封入作業(雑誌、パンフレット、チラシ等)
    • ペットメモリー
      その他
わんにゃん健康住宅研究所

社名      :わんにゃん健康住宅研究所

本社所在地   :〒151-0053 東京都渋谷区代々木3-46-16小野木ビル208

創立      :2009年

代表者名    :清水満(一級建築士・愛玩動物飼養管理士)

URL     :http://hwsa2.gyao.ne.jp/wan-niyan/

 

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