ペトグラファーが語る、「はじめまして」で特性を見抜く本意

2016年10月12日

お写真④

ロゴ

アニマルラグーン株式会社
代表取締役社長 小川晃代氏(ペトグラファー)


トリマー、ドッグトレーナーの資格をはじめ、動物に関する様々な資格を保持する。「ペトグラファー」(ペットの写真家という意味)の第一人者として活躍中。野生動物写真家の故:前野やすし氏、「はなデカ」シリーズで一世を風靡したカメラマン森田米雄氏の元でカメラを学び、制作会社で番組ディレクターを経て独立。2006年6月、動物に特化した「アニマルラグーン」を設立した。これまでに撮影したペットは2万頭に及び、10万点以上の作品を保持している。現在は写真教室の講師をはじめ、ペット雑誌の編集長やペット番組のディレクターとしても活躍する。

今までの経験を詰め込んだ!アニマルラグーン誕生のきっかけ

アニマルラグーンは、どのような会社なのですか?

アニマルラグーンは「動物の楽園」という意味を持つ、主にペットに特化した制作会社です。ペット番組の企画・制作から撮影、編集までペットを表現するための様々な事業を行っています。他にも、ペットモデルプロダクションの運営もしており、当社に登録されているペットの数は約300頭にのぼります。実は、アニマルラグーンは、今までの経験を詰め込んだ会社なのです。

これまでどのようなお仕事をされてきたのでしょうか?

高校卒業後、ペットショップで4年半ほど勤務をする中でトリミングや繁殖、飼育を学んだ後、ペット写真家の元で動物の撮影技術を習得しました。その後、制作会社でディレクターとしてペットや化粧品の番組の制作に携わり、25歳の時に独立して起業しました。

私にしかできないことがしたいという思いから、これまでの経験を掛け合わせてペット専門の制作会社を興しました。ペットに特化した制作会社はおそらく当社しかないでしょう。

ペットの番組を制作する際は、カメラマンを始めドッグトレーナーやモデルプロダクションまで複数の会社が関わるため、一社のみでは完結しません。しかし、私がペットに関わる様々な資格と経験があることから当社で一括した番組制作を請け負うことが可能なのです。

コレクションは300枚以上!原点は中学時代のマイブーム

そもそもペットの写真家になろうと思ったきっかけは何だったのですか?

お写真②幼いころから動物が大好きでしたが、父は動物の毛が苦手だったようで、犬猫を飼うことはできませんでした。犬猫がだめならばとセキセイインコやリスを家で飼ったり、学校では飼育係をしたりと身近に動物がいました。中学時代には野生動物の写ったテレホンカード収集が趣味で、カードは未使用のものだけで300枚はあったと記憶しています。

昔から動物が大好きで高校時代にサファリパークで実習をしたこともあって、進路を考えていた時に「動物」という軸だけは外せないと思いました。そこで高校卒業後は、トリマーの実習生として経験を積むことにしました。19歳で動物の撮影に興味を抱いてからは、トリマーとして勤務をする傍ら、中古カメラを片手に動物園に通う日々を送っていました。とはいっても機械オンチな私はカメラを使いこなす事が出来ず・・・。

そこで、野生動物の撮影で有名な(故)前野やすし師匠から、月に1、2回ほど実践を通じて写真の技術を習いました。当時トリマーだった私は自分のカットしたワンちゃん・猫ちゃんをキレイに撮影できたら素敵だなという思いも芽生えていました。そんな中、魚眼レンズで「はなデカ」の一大ブームを巻き起こした森田米雄師匠の元で写真の技術を本格的に学んでみたいという気持ちが抑えられなくなったのです。

憧れの森田氏に弟子入りしたい!でも・・・

弟子入りには苦労されたと伺いました。

「思った事は即行動」の私は森田氏に会うべく早速行動にうつしました。弟子入りを直接志願するつもりで、一般客として自分のペットの写真撮影の相談でスタジオを訪ねたのです。

履歴書や自分の作品を隠し持って向かったものの、師匠は不在で・・・。全てを託したのが、当時師匠の秘書として働いていた、現在の主人でありアニマルラグーンで働いている湯沢です。その後も、トリマーを続けながら師匠からの連絡を待っていました。

ほどなく師匠の弟子が辞めるということで、アシスタントの募集をかけたものの、集まった数十人の中には候補に挙がる者がいないという事と、私の熱意を買っていただき、見事、師匠の元で働かせていただくことになりました。

ハードスケジュールに耐えることができた理由は、独立を決めていたから?

森田氏に弟子入りされてから独立されるまでの経緯を教えてください。

お写真③カメラアシスタントは一から十まで写真の技術を教えてもらえるわけではありません。師匠は、自社で動物を沢山飼育していたため、私の仕事は主に動物の飼育をすることでした。午前は動物の世話、午後は必要な動物を車で撮影場所まで連れて行き撮影のアシスト、撮影後は動物のお世話をしてから終電で帰るような毎日でした。

かなりハードでしたが、私の中では期を見ての独立を考えていたため集中して技術を習得し細かいことでもメモを取っていました。
弟子入りしてから10ヶ月ほどで師匠の元を出て、制作会社で経験を積んだ後、25歳で起業をしました。当時は経営・経理に関して無知でしたので、分からないことが山積みでしたが、今まで出会った方々の力をお借りして、ここまで来ることができました。
ベテランの多い制作の現場では心地の悪さを感じたこともありましたが、経験を重ねていく中で次第に認めていただけるようになりました。

会社が軌道に乗った段階で湯沢を会社に誘い、今では一緒に撮影現場をまわっています。私と湯沢は撮影する被写体が同じ「生き物」なので雑誌の執筆の際は動物園や水族館等野生動物に近いものは湯沢が、私はペットやキッズを担当することが多いです。

野生動物を見るとテンションが上がる!

ナイトズーに関する執筆をされていますよね。

野生動物は大好きです!結婚式もケニアで挙げてきました。ナイトズー※は、夜間の動物園で動物にスポットライトが当てられる特別な展示です。7月下旬から1カ月程度の主に週末に限定して開催する動物園が多いので、撮影のチャンスは1年に10日程度しかありません。

より多くの方に写真を身近に感じて欲しいという想いから、ナイトズーの撮影実習を企画することもあります。SNSを通じて参加者を募るのですが、期間限定であることと、普段は見ることのできない動物の姿を間近で見ることができることから大人気です。真っ暗闇ですと撮影ができませんので、スポットライトが当たっている動物を撮影します。
ナイトズーでいろいろな動物を撮るためには1箇所の園だけだと足りず、様々な動物園を巡ります(笑)。

※ナイトズー(night zoo):動物たちの夜の様子を展示することを目的とし、全国各地の動物園や水族園が実施している夜間開園のことを指す。主に7月から8月の週末限定で実施している施設が多い。動物の観察だけでなく、音楽ライブやトークショー、特別ガイドなども行っており、昼間とは違った夜の動物園を楽しむことができる。

飼い主も大満足!トリマーの経験を持つ小川氏ならではの心配り

小川さんの作品ならではの特徴を教えてください。

いい作品を撮ることはもちろんですがそれ以上にペットの体調が一番気になるので、無理のない範囲でかつ短時間の間にその子の魅力を引き出す点に神経を使っています。撮影イベント等では10分間に様々なカットを撮る場合もありますので、初めて会った子の気持ちや特性、飼い主さんの趣向を瞬時に見抜く必要があります。長時間の撮影はペットに負担がかかりますし、段々飽きてくるので、最初が肝心です。

小川さんの作品
小川さんの作品

撮影のシチュエーションを事前に想定していてもペットの性格を見て当日変更することもあります。撮影の時は撮影用の台が高くて怖がっている子の場合は台を外したり、元気な子の場合は籠に入れて動きを少し制御したりと様々な工夫をしています。

経験を重ねるうちに、触れ合っているとその子の性格が分かるようになってきました。今では、どのような子にも対応できるように様々な種類の小物を常に用意しています。

実は、昔から動物と触れ合ってきたことや息子がいることもあって、動物や小さい子の扱いには慣れており、動物の撮影を難しいと感じたことはほとんどありません。ペット以外にも撮影を行っていますが、成人女性の気持ちをのせながら撮影する方が難しいと思っています(笑)。

ペットに関わる仕事での経験が現職に生きた例を教えてください。

お写真⑤
スタジオの様子

動物とのコミュニケーションの取り方からトリミング等のケア方法までいろいろと役立っています。撮影前にきれいにしてあげることは、重要だと思っています。例えば、プードル等は伸びてきた毛が目にかかっている子も撮影にきますが、可愛いお目目が隠れてしまってはせっかくの写真も台無しです。
毛が長い子の場合は目周りのカットやブラッシング、目やにや鼻水がついていないか念入りに確認します。形に残るものなので、ベストな状態で撮影してあげたいです。

 

飼い主の生活をより愉しく豊かなものにしたい!そんな想いから生まれたカメラ講座

今後の展望をお聞かせください。

多くの方に、写真を気軽に楽しんでいただくため、現在は、愛犬家を中心としたカメラ講座を開いています。私がカメラマンとして撮ることにも需要はありますが、それ以上に愛犬・愛猫を自身で上手く撮れる方が毎日の生活が楽しく豊かになると思っています。
カメラマンは経験をもとに臨機応変に上手く撮れますが、ペットと一緒に暮らしている飼い主の場合、お互いが築きあげた信頼関係からカメラマンが撮れない表情も撮れるはずです。

小川さんの作品
小川さんの作品

カメラやスマホが普及して、気軽にペットの写真を撮れるようになってきたので、私の講座では特にカメラの機種を指定せず、手持ちのカメラで上手く撮れるような指導をしています。そのため参加者はスマホから一眼レフまで様々です。

長く受講してくださっている方の中には、私から見ても「プロ並みだ」と思う方はいます。そんな方々の素晴らしい才能を生かせるような場が作れたらと考えています。
今後は、ペトグラファー養成講座を開講し一定のレベルをクリアした人たちと一緒にイベントを盛り上げていくのも楽しそうですね!
写真を通じて、ペットと飼い主の生活をより豊かで彩り溢れるものにするお手伝いをしていきたいです。

アニマルラグーン株式会社の会社概要

法人名     :アニマルラグーン株式会社

住所      :東京都世田谷区駒沢1-2-7 D棟

設立年     :2007年

代表       :代表取締役社長 小川 晃代

主な事業内容  :動物番組の企画・制作・演出、ペットモデルプロダクション運営、ペットフォトレンタルギャラリー、写真スタジオの運営等

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